
「Wi-Fi」は大きく分けて、モバイルWi-Fiルーター(ポケットWi-Fi)・ホームルーター・光回線(のWi-Fiルーター)の3種類です。特に「格安Wi-Fi」と呼ばれることもあるモバイルWi-Fiルーターには、「外出先でもWi-Fiが利用できる」などのメリットがある一方、「通信速度制限にかかりやすい」などのデメリットがあります。この記事では「モバイルWi-Fiルーターはコスパがいいの?」「そもそも本当に格安なの?」などについて、詳しく解説します。
モバイルWi-Fiルーターの代表的なメリットは以下の3つです。
これらのメリットを1つずつ見ていきます。
モバイルWi-FiルーターはWi-Fiルーター自体にバッテリー(電池)を搭載し、持ち運びできるようにした小型の通信機器です。そもそも「Wi-Fiルーター」とは、インターネット回線と端末(パソコンやスマホ)を、Wi-Fiという無線通信の方式で中継・接続する機器。インターネット回線がケーブルではなく無線(電波)であれば、モバイルWi-Fiルーターもしくはホームルーターと呼ばれます。ホームルーターはコンセント電源に接続して利用するので持ち運びできませんが、モバイルWi-Fiルーターは自宅でも外出先でも利用できます。
モバイルWi-Fiルーターを持ち歩けば、外出先でもパソコン・スマホ・ゲーム機をインターネットに接続して利用できます。スマホはそもそも通信端末ですが、ほとんどのスマホにはデータ容量(期間中のデータ通信量の上限)があるのです。自宅にWi-Fiがある人の約90%は、データ通信容量節約や通信速度確保のために、スマホをWi-Fiに接続しています。(参照:総務省「無線LANセキュリティに関する調査結果」)モバイルWi-Fiルーターは外出先でも利用できるので、常に月々のデータ通信容量を節約できるメリットがあります。
ホームルーターも同様ですが、モバイルWi-Fiルーターは無線(電波)でインターネット回線と接続するので、ケーブルを整備する「開通工事」が必要ありません。端末さえ届けば、その日からインターネットを利用することができます。ただし、新生活が始まる時期などは、混雑して端末の提供が遅れる可能性も考えられるので、「即日開通」に期待する人は注意しましょう。
モバイルWi-Fiルーターの代表的なデメリットは以下の3つです。
これらのデメリットを1つずつ見ていきます。
モバイルWi-Fiルーターには、「データ容量無制限」をアピールしているものも多いです。しかし残念ながら「完全」無制限のものは存在しません。(2022年2月時点)
回線名 | サービス名 | 通信速度制限の条件 |
---|---|---|
モバイルWi-Fiルーター | WiMAX+5G (ギガ放題プラス モバイルルータープラン) |
【スタンダードモード】 一定期間内に大量のデータ利用【プラスエリアモード】 データ容量(15GB/月)の超過 |
Rakuten WiFi Pocket2 | 【楽天エリア】 一定期間内に大量のデータ利用【パートナーエリア】 データ容量(5GB/月)の超過 |
|
THE WiFi | データ容量(100GB/月)の超過 | |
ホームルーター | WiMAX+5G (ギガ放題プラス ホームルータープラン) |
【スタンダードモード】 一定期間内に大量のデータ利用【プラスエリアモード】 データ容量(15GB/月)の超過 |
SoftBank Air | 一定期間内に大量のデータ利用 | |
NTTドコモ home 5G | 直近3日間に大量のデータ利用 | |
光回線 | 無制限 |
※「通信速度」は下り(ダウンロード)、上り(アップロード)どちらも含む
※THE WiFi:スマートモバイルコミュニケーションズ株式会社が提供する「THE WiFi 100GB」プラン
※WiMAX+5G:UQコミュニケーションズが提供する無線インターネットサービスで、au 5G回線を併用
例えば、最も完全無制限に近いとされる「WiMAX+5G ギガ放題プラス」のスタンダードモードはデータ容量無制限。しかし上の表にある通り、プラスエリアモード(au回線に接続)には「15GB/月」というデータ容量が存在し、超過すると最大通信速度128kbpsに制限されます。そのため、「モバイルWi-Fiルーターは制限がかかるもの」と考えておいたほうが無難です。なお、光回線にも厳密には通信速度制限の条件がある場合も。しかし光回線の場合、動画視聴や音楽ダウンロードなど、ごく一般的な利用方法では制限の対象になりません。(参照:NTTコミュニケーションズ「インターネットを快適にご利用いただくための取り組み」)そのため、ほとんどの人にとっては完全無制限と考えて問題ないでしょう。
3種類のWi-Fiの通信速度を、表で比較してみました。
回線名 | 平均通信速度 (下り) |
平均通信速度 (上り) |
---|---|---|
モバイルWi-Fiルーター | 36.6Mbps | 11.8Mbps |
ホームルーター | 162.7Mbps | 18.8Mbps |
光回線 | 319.9Mbps | 247.2Mbps |
※2022年2月時点で集計した全国の平均通信速度
※IPoE接続、PPPoE接続両方含めての平均通信速度
上の表を見てみると、モバイルWi-Fiルーターの平均の下り速度は、ホームルーターや光回線と大きな差があることが分かります。平均の上り速度については、光回線が突出して速いことが分かります。通信速度にこだわりたい人はホームルーター、上り速度も重視するのなら光回線を選ぶといいかもしれません。
モバイルWi-Fiルーターは「1家に1台」のように、家族(複数人)で利用することに向きません。先述した通り、モバイルWi-Fiルーターはデータ容量超過で通信速度制限にかかりやすいので、複数人で利用するとさらに制限にかかりやすくなる恐れがあります。しかも光回線などと比較して通信速度が速くないので、さらに分け合ってしまうと各々の端末で満足のいく通信速度が出ないことも考えられます。
GoogleやYahoo!で「格安Wi-Fi」と検索すると、「モバイルWi-Fiルーター、ポケットWi-Fi」が多く表示されます。しかし他のWi-Fiと比較して本当に格安なのでしょうか。実は「表面上の月額料金」だけでは、正確に料金の比較ができるものではありません。条件によっては、ホームルーターや光回線の方が格安になる場合もあるのです。
「実質月額料金」とは、契約期間内に支払った総額を契約月数で割った金額です。インターネット料金は契約期間が異なったり、キャッシュバックがあったりします。そのため、本当の意味で正確に比較することが難しいです。そこで役立つのが実質月額料金という考え方で、計算式は以下の通りです。
※初期費用=契約事務手数料、開通工事費など
※月額料金=ユニバーサルサービス料を含む
この実質月額料金で比較することで、最終的に「思ったより高くついた気がする」「データ容量的にコスパがあまり良くなかった気がする」といった状況になることを、避けやすくなります。
実質月額料金を大きく左右するのが、割引やキャッシュバックなどのキャンペーンの有無です。キャッシュバックの大きなものを選ぶことで、実質月額料金はそのぶん割安に。また初期費用も、実質月額料金を大きく左右します。特に光回線は、他のWi-Fiと違って開通工事費がかかります。しかし「開通工事費無料(または割引)」キャンペーンがあれば、大幅に実質月額料金を割安に抑えることもできるのです。
なお出張・入院・海外旅行などで、1日から数週間、数ヶ月だけの期間限定でWi-Fiを利用したい場合は、Wi-Fiの「レンタルサービス」が役立ちます。これはモバイルWi-Fiルーターの端末を宅配や店頭などで受け取り、期間が終われば返却する仕組み。利用予定の期間があまり長くなければ、普通に契約するよりも費用を格安に抑えやすくなるので、検討の余地はあるでしょう。
「自宅でWi-Fiを使いたいけど、できるだけ格安に抑えたい」「モバイルWi-Fiルーターが安そうだけど通信速度制限が気になる」という人は、光回線の方が向いている場合もあります。なぜならキャンペーンや特典を適用すれば、モバイルWi-Fiルーターよりも実質月額料金が安くなる可能性もあるからです。「OCN 光」を例に説明します。OCN 光はキャンペーンが豊富な光回線です。
開通工事費 | 月額基本料金 | |
---|---|---|
戸建て | 19,800円
→0円 |
5,610円
→最大5カ月間 0円 |
集合住宅 | 16,500円
→0円 |
3,960円
→最大5カ月間 0円 |
※金額は全て税込表示
※家計応援キャンペーンが条件(家計応援キャンペーンは2022年11月30日をもって終了いたしました。)
このようなキャンペーンを適用すれば、実質月額料金を格安に抑えられて、なおかつ無制限でインターネットを利用することも可能です。
モバイルWi-Fiルーターについて、この記事で解説してきた内容を簡潔にまとめます。
データ容量や通信速度制限を全く気にせずWi-Fiを利用したいなら、光回線が最適でしょう。光回線を選ぶ場合、お得なキャンペーンを上手く利用すればモバイルWi-Fiルーターに負けないくらい実質月額料金を格安に抑えることもできます。この記事を参考にして、あなたにとっていい選択をしてもらえたら幸いです。